竹川 薫
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図1) |
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【 研究概要 】
【概要】
・ヒトなどの高等動物由来の糖タンパク質の糖鎖の末端にはα2,6結合したシアル酸が結合している。一方、分裂酵母の糖鎖の末端にはピルビン酸が結合している。
・ピルビン酸の付加には新規な転移酵素Pvg1が触媒する。Pvg1の立体構造を解析してPvg1変異体を作成してヒト複合型糖鎖にピルビン酸を転移できる新規酵素の創製に成功した。そして天然には存在しない新しいピルビン酸含有ヒト型糖鎖を作り出す世界初の技術を開発した。
<意義・必要性>
現在、医薬品の売上げトップは抗体医薬を中心とするバイオ医薬品である。バイオ医薬品の多くが糖タンパク質であり、例えばエリスロポエチン(EPO)はヒトの体内での滞留時間を伸ばすために糖鎖の本数を増やすなどの改良が行われている。我々は既にヒト複合型糖鎖の末端にピルビン酸を付加する技術を確立しており、本糖鎖がα2,6結合特異的に結合するシアル酸認識レクチンと結合することも確認している。ピルビン酸とガラクトース間の結合はシアリダーゼで分解されないことも確認しており、ピルビン酸含有糖タンパク質が安定に体内に存在できる可能性を示唆している。
<手法>
動物由来の糖タンパク質の糖鎖をシアリダーゼによりシアル酸を除去する。得られたアシアロ糖鎖に変異Pvg1/ピルビン酸転移酵素により、ピルビン酸を付加する。
【シーズの優位性】
ピルビン酸転移酵素Pvg1の立体構造解析結果から、168番目のヒスチジンをシステインに置換して、Pvg1変異体を作成することで、ヒト複合型糖鎖にピルビン酸を付加することが可能になったこと。
→ピルビン酸を糖タンパク質糖鎖に付加する技術(世界初の技術)
【シーズの応用可能性】
ピルビン酸含有糖タンパク質が生体内で安定に滞留することが証明されれば、全てのバイオ医薬品糖タンパク質に適用可能となる。当研究室ではエンドグリコシダーゼを用いて糖タンパク質糖鎖のすげ替え技術を確立しているため、この方法との併用により、簡便に均一糖鎖を有するピルビン酸含有糖タンパク質の合成が可能になることが期待できる。
【 ファイルダウンロード 】
添付ファイル1
【 関連キーワード 】
バイオ医薬品
| 糖タンパク質
| 酸性糖鎖
【 関連URL 】
http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/hakko/
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