古瀬 充宏
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図1) |
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【 研究概要 】
【概要】
脳において行動制御(睡眠、抗ストレスなど)に関わる機能性因子(栄養素など)を、微量のサンプルで迅速に探索することが可能な、ニワトリヒナモデルを開発。
<意義・必要性>
厚生労働省は、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の4大疾病に、精神疾患を新たに加えて「5大疾病」とする方針を決めた。年間3万人に上る自殺者の約9割が何らかの精神疾患にかかっていた可能性が示唆されその対応は急務である。発症後に有効な薬品に留まらず、日常に摂取する栄養素により予防・改善することは重要な意義がある。脳における栄養素・薬剤などの効果を迅速に解明する必要がある。開発途中の微量のサンプルでもスクリーニングが可能であり、効果確認後に大量生産へと移行できる。
<手法>
スクリーニングはニワトリヒナをモデルとし、目的とする物質を中枢に微量に投与し、その後の行動変化や代謝変化をモニタリングする。効果が得られた物質に関しては、げっ歯類を用い、経口・皮下・腹腔・静脈投与でも効果が得られるかを行動変化や代謝変化を指標として確認する。
【シーズの優位性】
微量投与で効果が検証できるために、検討段階において物質の合成や抽出を大規模に行う必要がない。効果が検証できたもののみ大量に合成・抽出を行い、げっ歯類モデルで検証を行うというプロセスを経るために、費用、労力、時間の節約となる。
本ニワトリヒナモデルで探索が行われたL-セリン(ファンケル快眠サポート)やL-オルニチンの睡眠誘導効果は、最終的にヒトにおいても効果が検証されている。したがって、本モデルは、ヒト、コンパニオンアニマル、産業動物向けの機能性物質の探索・開発における一次スクリーニングモデルとして有用である。
【シーズの応用可能性】
ヒト、コンパニオンアニマル、実験動物、産業動物ならびに野生動物への展開を視野に入れている。
→アミノ酸を含む各種栄養素の要求量の見直し:中枢神経系における栄養素の機能面から異常行動を含む精神疾患の予防・改善に向けた栄養摂取の提言。
→サプリメント・薬剤の開発:不眠、不安、うつ様状態、多動性などの症状緩和。
→動物生産技術の改善:ストレス軽減、育児行動の改善。
→コンパニオンアニマルの飼養管理改善:攻撃行動や多動性などの異常行動を改善し飼育しやすい状態に導く。
【 ファイルダウンロード 】
添付ファイル1
【 関連キーワード 】
脳
| 行動
| 精神疾患
| 栄養素
| 代謝
【 関連URL 】
http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/lrmb/
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